失業保険は?借金は?失業中の金欠に備えて知っておくべき2つのこと
ある日突然失業するというのは、実は案外誰にでも起こり得ることです。
リストラや倒産以外にも、病気などの身体の問題や、家庭の事情など、失業する原因は様々です。そしてもし一度失業してしまったら、この不景気の昨今、すぐに再就職が叶うかどうかわかりません。
そこで直面するのがお金の問題です。失業したら収入は当然途絶えてしまいますが、一方で生活費というのは急に減らせるものではありません。
多少節約したとしても、無職・無収入のニート状態のままではあっという間に金欠に陥ってしまうでしょう。
そこでここでは、失業中の金欠に備えてぜひ知っておいてほしい、失業保険の仕組み、そして無職と借金の関係という2つのポイントについて、詳しく解説していきたいと思います。
金額は?期間は?失業給付の基本の仕組みと手続き
失業して無職になってしまった人にとって、非常に重要な仕組みと言えるのが失業給付金です。
失業給付とは…失業中の生活への不安なく再就職先探しを進めていくために、失業期間中に給付される手当のこと。
この失業給付を受給するにあたっては、主に2つの条件があります。
- 就職しようとする積極的な意思があり就職可能な状況にあるにも関わらず、就職先が見つからない状態であること
- 離職の日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12カ月以上あること
以上のことから、身体的・環境的な理由などで当面の間働くことができない状態であったり、万が一雇用保険に加入せずに働いていた場合は、失業給付を受け取ることはできなくなってしまいます。
もし不正受給に該当すると認められた場合は、それまでに受け取った給付金の返還や罰金の支払いを求められることがあるので、注意してください。
なお、失業給付は失業すれば自動的に支給が開始されるという類の手当ではありません。
ちなみに、失業給付の金額や受給期間は、個々人の条件によって少なからず異なります。
まず金額に関しては、本人の在職中の賃金に応じて算出された《賃金日額》を基準として、その50%~80%の額が基本手当として支給されることになります。さらに年齢によって、基本手当の上限額には以下のように制限があります。
年齢区分 | 基本手当日額 |
---|---|
30歳未満 | 6,710円 |
30歳以上45歳未満 | 7,455円 |
45歳以上60歳未満 | 8,205円 |
60歳以上65歳未満 | 7,042円 |
また、給付期間は、年齢や勤続年数に応じて、90日~360日の間で取り決められています。
金額、給付期間ともに条件設定にかなり幅があるので、人によって失業給付の支給額にはかなり差が出ることになります。
実際に申請してみて、思いがけず金額が低かった…という戸惑いを感じることもあるかもしれません。
失業給付、いつからもらえる?待機期間と給付制限
失業給付に関して気をつけなければならないのは、手続きをすればすぐに支払われるわけではないという点です。
まず、離職票の提出から7日間は待期期間といい、期間満了までは失業給付を受け取ることができません。これは離職理由などに関わらずすべての人に該当します。
さらに離職理由が自己都合によるものだった場合、あるいは自己責任と言える理由があって解雇された場合には、3カ月間の給付制限を受けることになるのです。
ただし自己都合による離職であっても、その詳細によっては給付制限を受けることなく、待機期間のみで失業給付を受給できるようになる場合も有ります。
このケースに該当する人を特定理由離職者と呼びます。特定理由離職が適用される主な事情としては、以下のようなものが該当します。
- 本人の病気やけがなど身体的な事情による離職
- 妊娠・出産・育児などによる不本意な離職
- 家族の看病などやむを得ない家庭の事情の急変による離職
- 配偶者や扶養家族との同居のための離職
- 特定の理由で通勤困難または不可能になったことによる離職
なお、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどが原因での離職については、自己都合だと思われてしまいがちですが、実際には会社都合とするべき理由とされています。
もし知らずに自己都合で退職届を出して離職してしまった場合は、会社側からハローワークに自己都合退職として情報が伝わっている可能性が高いので、ハローワークに離職票を提出する際に一度確認・相談してみることをおすすめします。
審査のキモは返済能力!?ニート・無職が借金できない理由
上でもご説明した通り、失業給付の金額や受給期間は人によってかなり異なるので、たとえ給付制限なくスムーズに受給できても生活をサポートするには十分ではないということもあり得るでしょう。
そんな時、キャッシングなどでお金を借りて乗り切ることはできないか?と考える人もいるかもしれません。
しかし一般的には、無職・無収入の状態ではキャッシングやカードローンの審査には通らないとされています。そして残念ながら、これはほぼ事実です。
無職の時にキャッシングやカードローンに新規で申し込んだ場合、ほぼ確実に審査の段階で落ちてしまうでしょう。
その最大の理由は、この種のサービスの審査基準にあります。キャッシングやカードローンのような融資サービスでは、《返済能力》の有無が審査結果を決める最も重要なポイントになります。
例えば転職活動中であっても、そうした事情を考慮してもらえるということはありません。仮に再就職先の内定があったとしても、やはり現時点で定職に就いているわけではないという理由から、審査に通ることはないでしょう。
ただし1つだけ例外があります。それは、配偶者に安定した収入がある既婚者というケースです。
実は、銀行カードローンの一部は、専業主婦(主夫)でも配偶者が仕事をしていて安定収入があれば利用できるようになっています。
つまり、失業中の無職の状態でもこのタイプの銀行カードローンに専業主婦(主夫)として申し込めば、審査に通る見込みがあるのです。
共働きの既婚者の方は、いざという時のために覚えておくとよいでしょう。
在職時につくったキャッシング枠、失業しても使えるかも
もしも在職中に契約したキャッシングやカードローンが継続していたり、手持ちのクレジットカードにキャッシング枠があった場合、無職でもお金を借りることに対するハードルはかなり低くなります。
失業していてもすでにあるキャッシングなどの利用枠を使えば、問題なく借り入れができる可能性はかなり高いのです。
というのは、利用者が失業したという情報は、本人が申告しない限りは業者側に伝わることはまずあり得ないからです。
ただし、無職・無収入でお金を借りた場合、滞りなく返済できるのかという問題が出てきます。ただでさえ金銭的に余裕がない中で、借金を背負うというのはかなりリスキーなことです。
それを考えると、失業中に借金をする場合は、借りられる状況かどうかよりも、返せる状況かどうかを重視して判断するべきであるという認識は持っておくことが望ましいでしょう。
失業して借金の返済がキツイ…支払いを待ってもらうことはできる?
万が一、借金の返済中に失業してしまったり、失業してからお金を借りて返済が難しくなってしまった場合、どうすればよいのでしょうか?
気になるのは、返済を多少は延期したり、待ってもらうことができるのかという点だと思います。
返済の延期に関しては、業者によって少なからず対応が異なりますが、総じて言えるのは、数日~数週間程度ならともかく、1か月を超えるような支払い延期には対応してもらえない可能性が高いということです。
あまりにも延期期間が長くなると、そのままなし崩しに貸し倒れに至るリスクが高くなってしまうため、業者としてはできる限り長期の返済延期は避けたいと考えるものなのです。
ただし、支払いを全額延期するのではなく、返済額を一時的に減額するなどして、一部を期日通りに支払うという形であれば交渉に応じてもらえたという事例もあります。
いずれにしても、返済期日通りの支払いが難しいという場合には、返済期日より前に一度業者に相談してみるべきでしょう。
なお、どうしても支払い続けることができないとなった時には、法律事務所などに相談して、債務整理など何らかの対処をすることを検討しなければならないかもしれません。
切っても切れない無職とお金の悩み…正しい知識で乗り越えよう
無職とお金の悩みというのは、切っても切れないものです。
その場に直面して途方に暮れてしまうことがないように、日ごろから失業給付や借金などに関する必要最低限の知識は備えておくことをおすすめします。
無職・無収入というのは社会的にはかなり弱い立場になってしまうので、場合によっては自分だけではどうにもならないということもあるかもしれません。
そんな時は、1人で対処しようとせず、追いつめられてしまう前に周囲の人を頼るということも必要です。頼れる人が見つからなければ、役所に相談するという手もあります。
無職と言うハードな状況を乗り切ることができるかどうかは、あなたの知識と行動にかかっているのです。