家賃が払えない!そんな時は住宅支援給付の検討を
金欠でお金がちょっと足りない!というくらいであれば、友人や親から一時的にお金を借りたり、カードローンでしのぐことも可能です。
しかし「職も失って家賃も払えない」なんてかなりのピンチな状態ですと、その場をしのげればいい…というレベルではありませんよね。
そんな時にぜひ覚えておいていただきたい知識として「住居確保給付金」という制度があります。
これは一定の条件を満たしていれば、一定の期間家賃を補助してくれるものです。
帰る実家がない、事情があって帰れない、だけどお金がない…というピンチを助けてくれる光となる可能性がありますので、「自分には関係ないや」と思わずに、知識として持っておくことをおすすめします。
「住宅支援給付」は現在「住居確保給付金」に変化
「住居確保給付金」ではなく、「住宅支援給付」は知っている、という方もいるかもしれません。
住宅支援給付も住居確保給付金と同様、一定の条件を満たした人に家賃の補助をしてくれる公的支援ですが、実は現在は新規に申請することが出来ません。
その理由は、あくまで住宅支援給付は一時的な措置であったものだからです。
それをブラッシュアップし、きちんとした「公的支援」として制度化したのが「住居確保給付金」なんです。
実際、申請するための条件などは非常に似通っており、共存していたら「なぜこんなに似ている制度が2つもあるの?」と混乱してしまう人が出る可能性もあるほどです。
それで結局、どのような制度なの?
「住居確保給付金」はどのような制度なのかといいますと、
- 収入がなく(または少なく)家賃が払えない、または家がない人への家賃支援
- 再就職の支援
という2つの目的によって行われる支援です。
もっとざっくり言ってしまえば、「職を失って家がなくなる!」という方を支援するための制度、と思っていただければいいと思います。
誰でもOKではない。住居確保給付金の支給対象となるのは?
職を失い、家も失う可能性がある(あるいは失った)方のための支援制度である住居確保給付金。
しかし、この2点を満たしていればいい…というわけではありません。
なぜなら職を失って家をも失ったとしても、貯金があればそのお金で家を借りることが可能というケースがあるからです。
というわけで、支給の対象となるにはある程度の条件を満たした人のみとなります。具体的な条件を見ていきましょう。
離職等により困窮し、住居を喪失したあるいは喪失する可能性がある
まずこの前提がないと住居確保給付金の支給を申請することは出来ません。離職により困窮するだけ(例えば実家ぐらしや既に親から受け継いだ家に住んでいるなど)であれば対象外ということです。
申請日において、65歳未満かつ離職等の日から2年以内
年齢だけでなく、離職した日から2年以内であるという条件も含まれます。
3年前に離職したけど再就職できず、貯金がつきて家賃が払えない…という人は対象外というわけです。
受給開始日ではなく申請日ですので、申請後2年を超えてしまっても問題ありません。
離職前は主たる生計者だった
少々難しい言い回しですが、自分が大黒柱だったかどうか、ということです。
自身が働いていて家族を養っていたのであれば対象となります。
また、離職前は主たる生計者ではなくとも、離婚等で主たる生計者になった場合も対象となります。
具体的には、離婚前は専業主婦で旦那さんが稼いできてくれたけれど、離婚になって自身が子供を養わなければならなくなった、というケースが該当します。
世帯における収入が一定の金額以下
当然ですが収入の条件もあります。
申請日がある月の、申請者とその同一世帯に属する人の収入が以下の表の金額以下である、というものです。
またちょっと難しい言い回しですが、世帯収入が表の「収入基準額」以下かどうか、というわけですね。
家賃額は「住宅扶助特別基準額」が上限となっているようです。今回この表では、大阪市及び京都市の家賃額(同額)を参考としています。
世帯人数 | 基準額 | 家賃額 | 収入基準額 |
---|---|---|---|
1人 | 84,000円 | 40,000円 | 124,000円 |
2人 | 130,000円 | 48,000円 | 178,000円 |
3人 | 172,000円 | 52,000円 | 224,000円 |
4人 | 214,000円 | 52,000円 | 266,000円 |
5人 | 255,000円 | 52,000円 | 307,000円 |
申請日時点で、世帯の預貯金額が一定額以下
収入だけではなく、預貯金についても条件があります。「貯金があるならそれを使えばなんとかなるでしょ?」ということですね。
世帯主あるいは申請者だけではなく、世帯全体が範囲となりますので注意しましょう。
世帯人数 | 金融資産 |
---|---|
1人 | 504,000円 |
2人 | 780,000円 |
3人~5人 | 1,000,000円 |
ハローワークに求職申し込みをし、積極的に就職活動を行う
当然ですが、働かないとお金をもらうことが出来ず家賃も払えません。なので、ハローワーク等で再就職を目指そうね、という条件になります。
国の雇用施策による貸付や給付を受けていない
職業訓練受講給付金や生活保護をはじめとした、国や地方自治体から受けられる公的な貸付や給付を既に受けている人は、住居確保給付金の支給対象外となります。
申請者及び世帯に属する人が暴力団員でない
こちらは特別壁になるような条件ではないと思います。
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住居確保給付金の支給額及び支給期間は?
こちらのトピックでは住居確保給付金の支給額及び支給期間について説明します。
まず支給額ですが、月収が基準額以下かどうかで分かれます。
月収が基準額以下の場合、住居確保給付金は先程の表に記載されている「家賃額」を上限とし全額支給されます。
月収が基準額を超える場合は、以下の計算式によって算出された額が支給されます。
例えば1人世帯で家賃額が5万円、月の世帯の収入合計額が10万円だった場合は
となります。
支給期間は基本的に3ヶ月
住居確保給付金の支給期間は基本的に3ヶ月です。
しかし、受給期間が終了する際に
- 就職活動を熱心にしていた
- 世帯の収入及び預貯金が一定額を下回る
といった場合は3ヶ月の期間ごとに2回まで、最高で9ヶ月間支給してもらうことも可能です。
お金は自分の手元には来ない
住居確保給付金は、各自治体から直接管理会社や家主等に支払われ、申請者の口座に入ることはありません。
住居確保給付金の申請方法は?
住居確保給付金は、現在住んでいる、あるいは住もうと思っている区や市などの社会福祉協議会にて受け付けています。
- 住居確保給付金支給申請書
- 住居確保給付金申請時確認書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 2年以内に離職等したことが確認できる書類(離職票など)
- 金融資産が確認できる書類(通帳の写しなど/世帯者がいる場合、その人の分も)
- 求職の申し込みが確認出来る書類(求職受付票など)
- 入居(予定)関係の書類
- 印鑑
公的支援制度なので必要書類の数はかなり多いです。1つでも欠けていると申請できないので注意しましょう。
申請書や確認書は自立相談支援機関で手に入れることが可能です。
また、上記以外にも状況に応じて別途書類の提出を要請されることもあります。詳しい必要書類は、自分が住んでいるまたは住もうと思っているところの社会福祉協議会に問い合わせるのが確実ですので、おすすめします。
本当に困窮しているなら公的制度で支援を受けよう。まずは相談を!
ちょっとお金が足りないというくらいであれば、カードローンである程度カバーすることが出来ます。
無利息期間を上手に使えば利息0円でお金を借りられますし、短期間で完済すれば金利が高いといっても数百円程度で済むので、大きな負担にはなりません。
しかし、それでもカバーが出来ない、それでカバーしようとしてもどうしようもならない…という状態では、カードローンに手を出すと借金に苦しむことになってしまいます。
そんな時こそ、公的な支援を受けることを考えましょう。
申請に手間がかかる、審査結果が出るまで時間がかかるなど、つい「お役所仕事」と言いたいところもありますが、本当に困っている人を助けてくれる制度でもあります。
ピンチを乗り切るためにも、使えるものは使う!という精神は大事。今は不要でも知識として持っておくだけで役に立つことがあるかもしれませんよ。
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