マイナンバー制度導入で副業がバレる?ホントのところ、教えます!
今の時代、正社員として仕事をしていても生活に十分なお給料がもらえるとは限りません。
本業だけでは稼ぎが足りず、副業でプラスアルファの収入を得ているという方も少なからずいるのではないでしょうか?
ただ、大半の企業では従業員の副業を禁止しています。禁止されているのであれば本来はあきらめるべきなのですが、そうはいかない状況もあるでしょう。
となると、本業の勤務先にはバレないように副業をしなければならないということになります。
そこで気になるのが、近年、制度化されたマイナンバーのことです。巷には《マイナンバーが原因で副業収入が勤務先にバレる》なんていう噂も流れています。実際のところ、これは事実なのでしょうか?
マイナンバーって結局なに?おさえておきたい基本の仕組み
まずは基礎知識として、マイナンバーの基本的な仕組みを確認しておきましょう。
1人に対して確実に個人を識別できる1つの番号を振り分けることによって、行政上、必要な個人情報を管理・運用しやすくすることが目的とされている。
もともと、行政において個人を識別する記号は、住民票コードや基礎年金番号など担当機関・用途などによって様々で、複数の機関にまたがって情報共有する必要があるときには非常に不便でした。
そのため、利便性を向上させ、間違いや不適切な行為(給付金の不正受給・脱税など)が起こるのを防ぐために、すべての行政機関で共通して使用できるマイナンバーを交付することになったのです。
この制度に対しては、賛否両論様々な見解がありますが、ここでは基本の仕組みと理念をご紹介するにとどめます。
何に使われるの?勤務先にマイナンバーを通知すべき理由とは
マイナンバーを実際に運用するのは原則として行政機関ですが、その手続き上、個々人が自分のマイナンバーを通知しなければならない相手というのがいくつかあります。その1つが、勤務先です。
原則として、従業員は勤務先の企業に対して自分のマイナンバーを通知する必要性があります。もし扶養家族がいる場合は、その家族分のマイナンバーも同様に通知しなければなりません。
勤務先の企業がマイナンバーを必要とする理由は主に2つあります。
- 雇用保険の資格得喪手続き
- 所得税、住民税などの税徴収のための手続き
勤務先にマイナンバーを通知することに抵抗を感じる方もいるかと思いますが、行政上重要な手続きとかかわりがある以上、基本的には避けられない必須事項と認識しておいた方が良いでしょう。
勤務先におけるマイナンバーの2つの役割のうち、ここで重要になるのは後者の税金関連の手続きの方です。
この場合、マイナンバーは個人の所得を紐づけして、正しく把握し、所得に基づく税金を正しく決定するために使用されます。
したがって、本業の勤務先はもちろんのこと、副業がアルバイトや派遣(日雇い労働含む)の場合、そちらにもマイナンバーを通知しなければならないということが考えられます。
在宅ワークやフリーランスなどの雇用関係が発生しないケースでも、報酬の払い手と受け手という関係になる以上、マイナンバーでの紐づけの対象となる可能性があるのです。
さらに株などの投資においても、証券会社で新規口座を開設するにあたってはマイナンバーの通知が必要となるため、収入の紐づけはここでも有効ということになります。
意外!マイナンバーのせいで副業バレはあり得ない
それでは、マイナンバー制度が導入されたことで本業の勤務先に副業をしていることはバレてしまうのでしょうか?
結論から言えば、実はマイナンバーが副業バレの直接の原因となることはまずあり得ません。
マイナンバーやそれに紐づけされた情報というのは、非常に重要な個人情報であり、取り扱いには十分に注意すべきであるとされています。
したがって、行政機関や、本人からマイナンバーを通知された対象が、その正しい目的・用途以外にマイナンバーの情報を利用することは原則として認められないのです。
行政側も、そうした必要以上の情報を勤務先に伝えることはあり得ません。
副業が会社にバレる最大の原因は住民税…それってナゼ?
実は、副業が会社にバレてしまう最大の要因は、住民税にあるとされています。
正社員であれば、住民税は給与天引きになっているという方が大半ですよね。この住民税を給与から直接天引きする方式を《特別徴収》と言います。
住民税の金額は前年の所得に応じて決定されるのですが、この際、副業収入があれば、当然それも年収に含まれることになります。
そしてここが非常に重要なのですが、住民税の特別徴収は、本業と副業で分けて行われるわけではなく、副業収入の分も含めて、すべて本業の給与から天引きされることになるのです。
したがって、本業の勤務先の担当者には確実にトータルの住民税額がわかるようになっています。
そしてその金額が前年より大幅に増えていたり、同程度の給与の他の従業員よりも極端に多かったりすると、他に収入があるのでは?と担当者が不審を感じ、最終的に副業収入の存在がバレてしまうというわけです。
なお、ここまでご紹介してきたとおり、勤務先においてマイナンバーと住民税は無関係ではないですが、マイナンバーの導入によって住民税の仕組みや手続き自体が変わったということはありません。
したがって、マイナンバー導入前と、導入後の現在で、住民税が原因で副業がバレるリスクの度合いが変わったということはないのです。
一歩間違えれば副業バレの原因に!?知っておきたい確定申告のこと
副業と住民税の関係を理解するうえで、ぜひ知っておいてほしいのが確定申告に関する知識です。
一般的には、正社員が本業以外に副業をする場合、その収入が年間20万円を超えたら確定申告が必要とされています。確定申告によって、副業収入分の住民税が決まるのです。
ただし、副業収入が年間20万円以下の場合、税務署への確定申告が必要ないだけで、住民税に関しては市区町村に申告する必要があるケースもあるので、よく確認してください。
住民税の特別徴収が原因で副業が会社にバレてしまうことを防ぐためには、必要な申告を正しく行い、なおかつ住民税を自分で役所に納付する《普通徴収》ができる流れに持っていくのが望ましいでしょう。
とは言え、これはなかなか簡単なことではありません。
住民税の特別徴収が避けられないケースとしては、主に以下のような事例があります。
- 副業収入が給与所得の形式になっている
- 住宅ローンや医療費などの控除が副業収入の住民税額より大きい
- 副業収入の損益が赤字になっている
これらの事例以外にも、自治体独自でルールを定めている可能性もあるので、確実に副業収入の住民税を普通徴収にするためには、確定申告時に必ず税務署で確認することをおすすめします。
要注意!《確定申告しなければ住民税は取られない》は間違い!?
そもそも副業収入があっても、確定申告をしなければ住民税が取られることはなく、勤務先にもバレないのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、確定申告や住民税の申告をするべき条件を満たしているのにも関わらず、必要な手続きをしないというのは、端的に言えば脱税行為に当たります。
まっとうに考えれば絶対にするべきことではありませんし、後から税務署にバレてしまうというリスクもあります。
もし必要な確定申告と納税を怠っていたことが明るみに出たら、それまで支払っていなかった税金に加えて、延滞ペナルティとして余分に税金を徴収されることになります。
それでも支払いの督促を無視していると、最悪の場合、財産を差し押さえられることもあり得るのです。
また、アルバイトや派遣など企業に雇用される形でを副業をしていた場合、その企業が従業員の誰にいくら給与を支払ったかということが詳細に記載された給与支払報告書を自治体に提出している可能性があります。
もし給与支払報告書が提出されている場合、自分で確定申告をしなくても、自動的にそれに基づいて住民税が加算され、本業の勤務先で特別聴取されてしまうのです。
これらのリスクを考慮すれば、確定申告をしないだけで住民税の徴収を逃れられるというのは、大きな間違いと言えるでしょう。
内緒で副業はハイリスク…正しい知識が身を救う
マイナンバー制度が直接の原因となって勤務先に副業がバレるということは、ほぼあり得ないということはお分かりいただけたでしょうか?
とは言え、住民税のような意外なところから副業はバレてしまうものです。
副業をこっそりしようとするのであれば、常にバレるリスクがあることは理解して慎重に対策を考えるべきでしょう。
住民税の仕組みは自治体によって異なることもあり、わかりにくい部分が多いので、自分で調べると同時に、税務署に確認したりしてできるだけ正確な知識を得ることが大切です。
なお、マイナンバー制度は運用が始まってまだ間もないこともあって、不明瞭だったり不確定な要素が少なからずあります。今現在は副業バレの原因にはならなくても、いずれ状況が変わることもないとは言えません。
特に会社に内緒で副業をするというイレギュラーな状況においては、何らかの制度の変更があっても迅速に対応できるよう、こまめに確認することをおすすめします。
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