金欠で医療費が払えない!そんな時に役立つ制度をまとめてご紹介
病気や怪我をすると、治療を受けないわけにはいきません。ですが、治療内容によっては医療費・入院費がかなり高額になることもあり、家計を圧迫する一因になることは事実です。
まして、怪我や病気をしたのが金欠の時であれば、医療費や入院費を支払うこと自体ができないのではないかと不安になることもあるでしょう。
ですが、そんな時に役立つ支援制度もありますので、困った時にはそれらを利用するのも一つの方法です。では、医療費に関してどのような支援が受けられるのでしょうか。まとめてご紹介します。
金欠で支払うのが大変な時、医療費自体を削減できる制度一覧
まずは、支払う医療費や入院費そのものを軽減できる制度にはどのようなものがあるのか、確認していきましょう。
高額療養費制度
これはよく知られている制度なので、耳にしたことがあると言われる方も多いかもしれませんね。
高額療養費制度とは、医療費によって家計の負担が重くなるのを避けるために、1か月分の医療関係の費用が自己負担額として決められている金額の上限を超えた時に、超えた分を支給する制度のことです。1か月の上限額は、所得や年齢を元に決定されます。
申請から支給までに時間がかかるのは、レセプトと呼ばれる医療保険に対して医療機関から提出される診療報酬の請求書が確定しなければ支給のための審査ができないからです。
医療費には、医療機関または薬局で支払った金額が含まれますが、入院の際の差額ベッド代や食費は含まれません。
問合せ先は、持っている健康保険の被保険者証を見れば分かる仕組みになっています。被保険者証に以下のように書かれている人の場合、記載されている健康保険に問い合わせをしましょう。
- 全国健康保険協会
- ○○健康保険組合
- ○○共済組合
- ○○国民健康保険組合
被保険者証に書かれているのが市区町村名の場合、地区町村に設置されている国民健康保険の窓口に問い合わせをしましょう。
実は、高額療養費制度には、場合によって負担がさらに軽減されることがありますので、どのような場合なのかを確認したいと思います。
世帯合算 | 多数回該当 |
---|---|
複数の受診を合算できる 同一世帯の人の医療費を合算できる |
過去12か月のうちに上限額に3回以上達した場合 4回目から自己負担の上限額が下がる |
ただし、世帯合算による軽減が受けられるのは、病院を受診した人が同一の医療保険に加入している場合のみです。
高額療養費貸付制度
高額療養費貸付制度(加入している健康保険によっては高額医療費貸付制度と呼ばれることもあります)は、当面支払う医療費に困っているような状況の時に医療費を支払うためのお金を借りることができる制度です。
融資額 | 利子 |
---|---|
高額療養費で支給される予定の金額の 8割または9割相当 |
無利子 |
融資額の割合に差があるのは、加入している健康保険によって違うからです。
この制度を利用すると、受け付けられて2週間から3週間でお金が借りられることと、無利子でお金が借りられることが大きなメリットであると言えます。
高額療養費制度では、医療費の払い戻しが診療を受けてから3か月よりも後になるため、当面の医療費を支払う際に困るという場合には、貸し付けを受ける方が向いているんですね。
さらに、高額療養費が返済に充てられるため自分で手続きをして返済をしなくてもよく、支給される高額療養費から借り入れをした金額を引いた金額が口座振り込みによって受け取れます。ただし、実際に支給を受けた金額が借り入れをした金額よりも高かった場合は、送付された返納通知書で返済をする必要があります。
高額療養費貸付制度の申請先は、加入している健康保険です。必要とされる書類は加入先によって違うため、提出前に確認しましょう。
出産一時金
赤ちゃんが産まれることはとても嬉しいことですが、出産の際にもかなりの費用が必要なことは事実です。そんな時には、加入している健康保険から支給される出産一時金を活用しましょう。一人の赤ちゃんについて、通常42万円が支給されます。出産の状況によっては金額が変わることもあります。
以前は一度支払いを済ませてから出産一時金を受け取る形だったのですが、一度お金を支払うことによる負担を減らすために、直接医療機関に支払う制度が導入されるようになってきています。ただし、全ての医療機関で可能なわけではありませんので、一度支払いが必要になることもあります。
直接支払いをしなければいけない時には、高額医療費貸付制度と同様に出産費貸付制度を利用してお金を借りることも可能です。
無料低額診療事業
無料低額診療事業というのは、以下のような生活に困っている人を対象として、医療機関が無料もしくは低額で診療を行うことを言います。
- 低所得の人
- ホームレスの人
- 要保護者
- DVの被害者
- 人身取引の被害者
この方法で診療を受けたい人は、社会福祉協議会や福祉事務所などの関係機関に相談をし、無料診療券または低額診療券の交付を受ける必要があります。
ただし、無料低額診療事業に取り組んでいる医療機関が多いとはまだ言い難いのが現状です。そのため、利用したいと思った場合は、まず関係機関に相談してみてください。
ひとり親家庭等医療費助成事業
ひとり親家庭等医療費助成事業とは、以下の条件に当てはまる人を対象として、医療機関にかかった時の費用の一部を助成するというものです。
- 対象児童を扶養している配偶者がいない人
- 父または母がいない対象児童本人
- 父母がいない対象児童
対象児童とは、18歳に達した後に最初に3月31日を迎えるまでの児童のことを指します。また、扶養の義務を持つ人が決められた所得以下であることも助成を受ける条件となります。
どのような形で助成が行われるのかは、住んでいる市町村によって異なります。助成を受けたい場合は、お住まいの市区町村の窓口に申し出ましょう。
医療費を減らすのではなく支払い方法を考える手も!相談できる先とは
医療費が支払えないとなると、どうしても借りることや負担を軽減することに目が向きますが、例えば給料日やボーナスの支給日が近いのでそれがあれば支払えるなど、支払いの目処が立つのであれば、支払い方法を変えてもらうことで対応できることもあります。
では、相談したい時はどうすればいいのか、見ていきましょう。
病院に相談する
通院中や入院中であれば、その病院の事務の人やソーシャルワーカーなどに相談してみましょう。相談室や地域連携室がある病院ならそこで相談してみてもいいですし、そうでない場合も事務の人に話を通すことで相談に乗ってもらえる可能性があります。
一括払いでの支払期限を延ばしてもらう、分割払いにしてもらうなど、病院によって対応は異なりますが、相談することで支払い方法を変更してもらえることもあります。ただし、全ての病院で対応可能とは限らないことは知っておきましょう。
また、クレジットカード払いに対応している病院であれば、それを利用することで引き落としがかかるまでの時間が延びますので、それを利用して給料やボーナスが支給された後に引き落しがかかるようにする方法もありますね。
市町村に相談する
病院に相談できない場合や、すでに退院してしまったなどの事情がある時には、市区町村に置かれている窓口に相談することも可能です。それによって、最初にご紹介した制度などを紹介してもらえることもあり、支払いがしやすくなる可能性が高いと言えます。
親族に相談する
これは状況によっては難しいかもしれませんが、親族だからこそ相談できることもあるかもしれませんね。
身内であっても借りっぱなしというのは問題がありますから、後々きちんと返済をするようにするという意識を持って親族から借りるのなら、それも一つの方法だと言えます。
医療費による圧迫で困る生活費を補う制度をまとめてチェック
医療費はなんとか支払えたとしても、医療費が家計を圧迫することで今度は生活が苦しくなるということも考えられます。
そんな時には、医療費ではなく生活費を補う制度の利用を考えた方がいい場合もあります。
では、どのような制度があるのか、見ていきましょう。
傷病手当金
これは、加入している健康保険から支給されるもので、病気や怪我で就業できなくて給料がもらえない時に、手当金が受け取れる制度です。
加入先の健康保険の種類によって取り決めに違いがあるため、支給期間や支給額について詳しくご説明することはできないのですが、支給額は給料の平均の3分の2程度が一つの目安となります。
支給期間も健康保険の種類によって異なりますが、1年6か月の場合もあれば3年間支給される場合もあります。また、この期間のうちに出勤できた場合、その期間も支給期間として数える場合もあれば、その期間は除いて休職している間だけを支給期間として数える場合もあります。
傷病手当金について詳細を知りたい場合は、加入先の健康保険の窓口に問い合わせをしてみてください。
医療費控除
医療費控除とは、1年間の間に医療費の負担額が一定を超えた場合に税金が戻って来るというもので、以下のようなさまざまな医療費が対象となります。
- 医師・歯科医師による診療・治療の費用
- 医薬品の購入(例:風邪薬など)
- はり師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師などによる施術の費用
- 義歯・義手・義足・松葉杖などを買う費用
- 医師発行のおむつ使用証明書を元にしたおむつ代
- 通院のために必要な交通費(自家用車を利用する場合は除く)
- 入院のために必要な部屋代・食事代など
これらは例で、他にも医療費控除の対象となる費用があります。医薬品に関しては、医師の処方箋を元にした医薬品のみではなく、薬局で買った風邪薬や傷薬なども含まれます。また、自家用車以外の手段で通院や入院をした場合の交通費も含まれます。
医療費と言われると、直接医療にかかわることをイメージしがちですが、他にも医療費控除に含まれるものがあることを知っていると、より多くの控除を受けられる可能性があります。
さらに、医療費は、納税者本人だけではなく生計を共にする配偶者や親族のために支払った費用を合計することができます。
医療費控除を受けたい場合は、所轄の税務署長に確定申告書を提出しましょう。
ただし、支払った医療費がそのまま返ってくるわけではなく、以下の式に当てはめて計算した金額に、申告する人の所得税率を掛けた金額が受け取れます。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度とは、以下のような生活に困っている世帯を対象に、低金利もしくは無利子でお金を貸すというものです。
- 市町村民税が非課税になる程度の他の場所からお金が借りにくい低所得者世帯
- 身体障害者手帳などを持つ人がいる障害者世帯
- 65歳以上の人がいる高齢者世帯
融資にはいくつか種類があるのですが、基本的には連帯保証人を立てれば無利子で、そうでない場合は年1.5%の金利でお金を借りることができます。
融資には、以下のような種類があります。ここでは、一例をご紹介しています。
名称 | 融資の目的 |
---|---|
生活支援金 | 生活を再建するのに必要な経費 |
福祉費 | 日常生活一般 冠婚葬祭 療養に必要な費用など |
緊急小口融資 | 急を要する一時的な資金として |
受けたい融資の種類によっては、生活困窮者自立支援制度の一環として行われている、自立相談支援事業を利用していることが必要になることもあります。そういった意味も含めて、利用したい場合には市区町村の社会福祉協議会に相談してみましょう。
生活保護制度
病気などが原因で仕事ができなかったり、収入が少なかったりなどの理由で、資産・能力などの全てを活用しても生活することが困難な時に受けられる経済的な援助で、以下の要件を満たしていれば受けられます。
- 資産活用をする
- 能力を活用する
- あらゆるものを活用する
- 扶養義務者による扶養をする
資産活用とは、預貯金や生活のために使っていない家屋・土地を売ったお金を生活費に充てることを言います。能力の活用とは、働ける状況にある人が働くことを言います。あらゆるものを活用するとは、手当や年金などの制度を活用することです。扶養義務者による扶養とは、親族などからの援助を受けることを言います。
保護費がいくら受け取れるのかは、地域や保護を受ける世帯の状況で変わりますので、金額などを明記することはできません。
金欠で医療費が払えない時は支援制度をしっかり活用しよう
以上のことから、医療費に関して様々な支援を受けることができることがわかります。
医療費は支払わないと言うことができないお金なので特に困ったと感じる場合もあるのですが、これらの制度をしっかり利用して上手くその時期を乗り越えたいものですね。
お金を用意することを考える場合、カードローンやキャッシングを利用しようと思われるかもしれませんが、これらの商品を利用すると金利がかなりつきます。ただでさえ困っている時に利息を多く支払わなければいけなくなると、ますます金欠が酷くなることが予想されます。
そのため、医療費・入院費が理由で金欠になっている時期には、できる限り公的な支援を利用するよう考えてみる必要があります。
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