金欠対策!稼ぐ、借りる、貰う、凌ぐ…パターン別解決法

年金を担保にお金を借りる!?「年金担保貸付制度」って何!?

我々が将来のために積み立てている「年金」。

この年金は生活の保障のために支給されるため、それを担保として利用することは違法とされています。

しかし、国で唯一認められている、「年金を担保としてお金を借りる制度」があるってご存知でしょうか?

日本の高齢化が進み、自身が年金を受給する時にはそれだけでは生活が出来ない可能性もゼロではありません。

そんな時に知っておくと便利な「年金担保貸付制度」についてご紹介したいと思います。

年金を担保にしてお金を借りる「年金担保貸付制度」とは?

「年金担保貸付制度」とは、その名前の通り「自身の年金」を担保としてお金を借りる制度です。

年金を担保とした融資は禁じられていますので「大丈夫なの?」と思う方もいるかもしれませんが、国が認める「独立行政法人福祉医療機構」が行う事業ですので、違法性はありません。

ただし、民間の業者が同じことをやっているとしたらそれは違法、闇金の可能性がありますので注意しましょう。

なんのために作られたの?誰向け?

高齢になると収入が年金のみになることも多く、他に収入を得られないことがほとんどです。

そんな時に、急にお金が必要になってもお金を貸してくれるところは少ないでしょう。

働いていればお金を借りやすいカードローンやキャッシングであっても、収入が年金のみでは利用できないところも多いです(中には年金受給者向けのカードローンもありますので、興味があれば調べてみることをおすすめします)。

借りにくい、だけどお金が必要…となると、闇金に手を出してしまう問題が出てきます。

高齢者が闇金などの違法業者から高金利で貸付を受けることがないように、公的制度で支援しようというのがこの「年金担保貸付制度」というわけです。

年金担保貸付制度、そのスペックと注意点は?

年金担保貸付制度がどのような目的で作られたものなのかはおわかりいただけたと思います。

このトピックでは、具体的な融資条件や資金使途(お金の使いみち)について解説していきましょう。

年金担保貸付制度を利用できる人はどんな人?

年金にお金を払っていればこの貸付制度を利用できるのかな?と思う方もいると思いますが、制度のなりたちとして「年金受給者が闇金から借りてしまう」のを防止するため…という背景があるため、誰でも利用できるわけではありません。

利用対象者や利率など、この制度のスペックをチェックしてみましょう。

項目 内容
利用対象者 次の年金証書を持ち、かつ現在その年金を受給している
・国民年金・厚生年金保険年金証書
・国民年金証書
・厚生年金保険年金証書
・船員保険年金証書
※基金や確定拠出年金から支払われる年金、
老齢福祉年金、特別障害給付金は対象外
・労働者災害補償保険年金証書
※石綿健康被害救済法に基づく遺族年金は対象外
融資額 以下の3つの要件を満たす額の範囲内
1)10万円~200万円の範囲内
※1万円単位。資金使途が「生活必需物品の購入」の場合
10万円~80万円まで
2)受給している年金の0.8倍以内
※所得税額相当額を除く年額
3)1回あたりの定額返済額の15倍以内
利率 年金担保融資:年1.9%
労災年金担保融資:年1.2%
保証人 連帯保証人(審査基準あり)が必要
返済方法 支給される年金より天引き
(偶数月に指定した定額返済額を
直接独立行政法人福祉医療機構が受け取る)

年金を「現在受給している」人が対象となっていることがわかります。

つまり、年金を受給出来ない若い人は対象外というわけですね。

融資額も最大で200万円としっかりと借りることが出来、金利も2%を切っていてかなりの低さです。

とはいえ、連帯保証人が必要であること、自分が借りられる金額がわかりづらいことなど、簡単に申し込めば借りられるものではない、ということもわかりますね。

自分がどれだけ借りることが出来るかは、独立行政法人福祉医療機構のホームページ内「年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業」のコーナーに「年金担保融資限度額・計算シミュレーション」を利用すれば試算することが可能です。

カードローンとは違う!資金使途はきっちり決まっている

年金担保貸付制度では借りたお金の使いみちが決められており、貸付の申請を行う時にも「なんのためにお金を使うか」を証明するものが必要となります。

借りたお金を何に使えるか?は、こちらの表にまとめました。

資金使途 具体例
保険・医療 入院費、診療費、手術費、
医療用・健康器具の購入費用など
介護・福祉 介護施設の利用費、
介護福祉用具(電動ベッドなど)の購入・設置費
住宅改修等 リフォームまたは増築費、住宅用の土地購入費用、
引越し費用など
教育 入学金、授業料、受験費用、教材費など
冠婚葬祭 冠婚葬祭にかかる費用など
事業維持 事業の運転資金、店舗などの工事費、
事業用設備の購入・維持費など
債務等の一括整理 消費者金融等からの借り換え、
滞納した家賃・光熱水費の支払いなど
生活必需物品の購入 自動車の購入費(修理代・車検代を含む)、
家電製品の購入費、家具・寝具の購入費など

多くの人が利用しやすいカードローンと比較するのは少々違うかもしれませんが、カードローンの資金使途は「基本的に自由」です。事業性資金には利用できませんが、生活費として使っても、旅行代として使っても問題ありません。

しかし年金担保貸付制度の場合は、生活費や旅行代として使うことが出来ませんので注意しましょう。

どうやって融資を受ける?申請の流れ

年金担保貸付制度を利用したい!と思ったのであれば、必要書類を用意して申し込み手続きを行いましょう。

最後のこのトピックでは、必要書類や融資までの流れをご紹介します。

必要書類は7種。細かい指定もあり

申し込み手続きをするために必要な書類は以下の通りです。

今回は割愛していますが、年金支給額を証明する書類についてはかなり細かい指示がありますので、しっかりと「どの書類が適切なのか」を判断することがポイントと言えます。

項目 詳細等
借入申込書(年金担保) 取扱金融機関にて入手可能
年金証書 証書を取扱金融機関に預ける必要があるため
年金支給額を証明する書類 年金振込通知書など、最新のものを提出
実印及び印鑑登録証明書 発行後3ヶ月以内のもの
本人確認書類 運転免許証など、写真付き証明書
資金使途の確認資料 具体的な使いみちがわかるもの。
パンフレットやカタログなどでも可
(ただし金額がわかるものに限る)
保証人関連書類 連帯保証人あるいは信用保証制度を利用する必要あり

年金担保融資までの流れ

融資までの流れは、銀行で融資を受けるのと大きく変わりません。

相談し、申し込み手続きを行えば基本的にはもう「待つだけ」なので、書類さえきちんと用意できれば、あとは躓くということはないでしょう。

相談 「独立行政法人福祉医療機構年金貸付課」か、
近くの「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示された
金融機関にて融資の相談をする
申し込み手続き 取扱金融機関にて行う
審査 審査にかかる期間はだいたい4~5週間程度
融資の決定 電話にて結果や融資実行日を連絡
融資実行 融資実行日に指定した預金口座へ振込

高利貸しから借りる前に、まずは相談を!

高齢者の方が増えている中、こういったお金の問題も増えていくことでしょう。

このような情報は知られていないことも多く、わからない故に高利貸しから借りるしかなかった…という方もいるかもしれません。

また、自身が年金を貰う年齢になった場合、金欠になってしまってもこの制度を覚えていれば解決出来る可能性もあります。

なにはともあれ、まずは金融機関等に相談を。適切な制度や機関を紹介してくれるはずです。

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