金欠なあなたに!必要な額だけを借りられる「口座貸越」の利用法
「もうすぐ家賃の支払いがあるのに、口座に全然お金が残ってない!」
「そういえばクレジットカードで買い物した時の引き落とし、今月だった!ヤバい!」…なんて経験、誰にでも一度はあるんじゃないでしょうか。
当然ですが、口座から引き落としが出来ないと信用情報が傷つくなどのデメリットがあり、絶対に避けたいところです。
しかし金欠だからどうしようもない…!そんな時の救世主が「口座貸越」です。
金欠時や、緊急にお金が必要な時に非常に役立つ、口座貸越についての知識を身に着けてみませんか?
口座貸越ってどんなシステム?メリットとデメリット
「そもそも、口座貸越って何?どんなシステムなの?」とお思いの方もいると思いますので、まずはそこからスタートしましょう!
このトピックでは、
- 口座貸越とはどのようなシステムなのか
- 口座貸越を利用する際のメリット
- 口座貸越を利用する際のデメリット
について、解説していきます。
口座貸越とは、「足りない額」を自動的に融資してくれるシステム!
口座貸越とは、普通預金の残額が、引き落とし額や引き出す額よりも少なかった際、不足分を自動的に融資してくれるシステムです。
具体的な金額を含めた例としてご説明しましょう。
普通預金の残高が60万円だが、緊急で100万円が必要になって、お金を引き出すことになったとします。
本来であれば普通預金の残高である60万円までしか引き出すことが出来ませんが、口座貸越サービスを利用していることで、不足分である「40万円」が自動的に融資され、100万円借りることが可能になります。
もちろんいくらでも融資してもらえるというわけではなく、その上限はありますが、とっさの「しまった!」という自体に大きな助けとなってくれるシステムと言えるでしょう。
自動で融資してくれるのが嬉しい!口座貸越のメリット
具体的な口座貸越のメリットについて考えてみましょう。考えられるメリットは
- 足りない時に自動で融資してくれる
- そのため、信用情報を守ることが出来る
- 口座に入金するだけで簡単に返済が可能
- 基本的に手続き不要で利用出来る
の4つです。順番に説明していきますね。
当然ながら一番のメリットと言えるのは「口座の残高が足りないときに自動で融資してくれる」というシステムそのものでしょう。
「明日までに入金しないといけない」のに、仕事が忙しくて銀行がもう閉まってしまったり、すっかり忘れてしまった…なんてときでも自動融資があれば問題なく引き落としが行えます。
それが2番目のメリットである「信用情報を守る」ことに繋がります。
信用情報とは、クレジットカードやカードローンなどの利用履歴のようなもので、「どれだけお金を借りたか」「毎月いくら返済するのか」といった細かいデータです。
カードローンで全然返済していなかったり、クレジットカードの支払いが滞っていると信用情報に「事故情報」が登録され、いわゆる「ブラック入り」になってしまいます。
しかし、自動融資で不足分を補填することできちんと引き落としが行われますので、信用情報に傷をつけるのを防ぐことが出来るというわけです。
そして3つ目のメリットは「返済が簡単」という点ですね。
カードローンなども返済が難しいことはありませんが、口座貸越の場合は自分の口座にお金を入れるだけで、貸越分が自動で返済されるので特別気を遣うこともなく返済出来るのは安心出来る点だと思います。
最後、4つ目のメリットである「申し込みが基本的に不要」という点も、そのラクさをメリットと感じられると思います。
申し込みをしないといけなくて、かつ利用できるまでに1ヶ月~2ヶ月…というのは正直面倒な気持ちになってしまいますよね。
口座貸越はほとんどのケースで自動で追加・セットされるサービスなので、「必要になったから申し込まなきゃ!」なんてことにならず安心です。。
利便性はあまり高くない?口座貸越のデメリット
続いては、口座貸越を利用する上でのデメリット・注意点について説明していきたいと思います。
- 口座の残高がマイナスにならないと利用出来ない
- 返済が完了しないと預金が出来ない
- 知らない間にお金を借りている可能性がある
- 借りたお金に利息がつく
最初のデメリット・注意点は「口座の残高が0未満(マイナス)にならないと口座貸越が使えない」ことです。
そもそものシステムがそうなので仕方ないのですが、「もしもの時のために預金は10万円残しておきたいけど、30万円必要だから30万円は口座貸越で借りたい」と思ってもそれは出来ません。
あくまで「口座残高が不足した時に利用できる借り入れ」なので、好きな額を預金に拘らず借りることが出来るカードローンと比べると、その利便性は低いと言えるでしょう。
2つ目のデメリットも1つ目に関連するのですが、「返済が完了しないと預金が出来ない」ことです。
口座貸越を利用すると、口座残高は「マイナス」になります。通帳に記帳した場合、
預金残高: -30,000 ←このように、残高に「マイナス」がつきます(30,000 - のように、後ろにマイナスがつくこともあるようです)。
残高がマイナスになっているわけですから、当然その分は返済しないと預金が行なえません。返済忘れがないので安心とも言えますが、「別に預金しておきたい…」という方にとっては厳しいデメリットとなるかもしれません。
3つ目のデメリット、これは人によっては一番のデメリットとなるかもしれませんね。
口座貸越のシステムはこの短い間に何回もおさらいしていますが、「自動で」融資が行われます。そのため、自分の口座残高を把握していないと、いつのまにかかなりの額を借り入れしていた…というケースもあります。
当然利用上限がありますので無限に借り入れをしていた、なんてことはありませんが、借入額が大きいと最後のデメリットである「利息」額も大きくなり、結構な負担になる可能性も十分に考えられます。
当然、お金を借りているのですから利息がついてしまうので、借入額が大きいと返済までに時間がかかり、なかなか完済出来ないなんてこともありえます。
まとめ:メリットは大きいけれど、デメリットもそれなり
口座貸越についてまとめますと、緊急時に非常に役立ち、かつ申し込みなども不要なので知っていて損はない手段・方法です。
しかしながら、デメリットもあわせて知っておかないと「こんなはずじゃなかった」となってしまう危険性も秘めている方法と言えるでしょう。
口座貸越の利用方法1:総合口座で定期預金を作る
口座貸越とはどのようなものかわかっていただけたと思います。
しかしここで、「じゃあ口座貸越はどうやって利用するの?」という疑問を持った方もいると思います。
口座貸越を利用する主な方法は2種類あり、そのうちのひとつが「総合口座で定期預金を使う」ことです。まずはこの方法について、詳しく解説していたいと思います。
口座貸越に必須!な「総合口座」とは?
通帳を作った経験がある方なら、「総合口座」はどんなものか十分ご存知かと思いますが、あえてこちらも説明をしたいと思います。
銀行をはじめ、信用金庫や信用組合、JAバンクなど、いわゆる「預金出来るところ」であれば大抵作ることが出来るのが「総合口座」です。
何が総合なのかといいますと、
- 普通預金
- 定期預金
- 公共債
といった金融商品の管理を1つの通帳・口座で行うもの…それが「総合口座」というわけです。
総合口座だけではダメ!「定期預金」が必要
とはいえ、総合口座を持っていればすぐに口座貸越が利用できる…というわけではありません。
普通預金口座を作るために総合口座を開設した方も多いと思いますが、それだけでは口座貸越の対象にはならないんです。
口座貸越の対象になるのは、
- 総合口座を保有
- 普通預金口座を開設済
- 担保となる預金がある
方のみなんです。ただ、総合口座を持っている(その中で利用しているのは普通預金のみ)という方は利用できません。
その理由は、総合口座にて積立している「定期預金」を担保として金融機関がお金を貸しているからなんです。
「定期預金担保貸付」と言うのですが、自身の定期預金の90%までの額を、定期預金そのものを担保として貸してくれるという方法があり、口座貸越はそれを利用しています。
少々ややこしいのですが、「口座貸越」=「定期預金担保貸付」と考えていただいても構いません(定期預金を担保としてお金を借りるというシステム自体は同じです)。
金融機関によっては口座貸越という形式でなく、フリーローンのようにお金を借りることが出来るところもあります。
担保に出来る金融商品は銀行によって違うこともありますが、基本的には
- 定期預金
- 積立預金
- 国債など公共債
であれば対象になることが多いと思っていただいていいでしょう。
注意すべき点として、「定期預金担保貸付」が「口座貸越」でしか行なえない金融機関の場合、普通預金通帳と定期預金通帳が別ですと利用できない、という点です。
仮に総合口座に普通預金と定期預金50万円、別に定期預金通帳として200万円ある場合、50万円の定期預金しか対象になりません。
金利は「定期預金の金利+0.5%」と非常に低い!
お金を借りる上で気になるのは「限度額」と「金利」の二つ。
定期預金等で利用できる口座貸越で利用できる限度額、及び金利についてご紹介しましょう。
まずは限度額です。先程も少し触れましたが、口座貸越で利用できる(借り入れ可能な)額の上限は「定期預金の90%」です。
ですので、100万円の定期預金であれば90万円まで、20万円の定期預金であれば4万円までの借り入れが可能となります。
定期預金額の90%まで、という上限以外に、別途限度額も指定されていることがほとんどです。
多くの銀行では「定期預金額の90%、または200万円のどちらか少ない方」としていることが多いですね。イオン銀行やゆうちょ銀行など、一部金融機関では300万円まで借りられることもあります。
また、三菱東京UFJ銀行は公共債は80%が上限となっており、定期預金と公共債で借りられる割合が変わるケースもあります。
金利は、「定期預金の金利に0.5%を加算した数字」という設定が基本だと思っていただければOKです。
いくつかの銀行の定期預金の利率及び、口座貸越で利用した場合の金利を調べてみました。
金融機関名 | 定期預金の金利 | 口座貸越の金利 |
---|---|---|
三井住友銀行 | 0.010% | 0.510% |
みずほ銀行 | 0.010% | 0.510% |
イオン銀行 | 0.020%~0.100% | 0.520%~0.6% |
三菱東京UFJ銀行 | 0.010% | 0.510% |
元である定期預金の金利が高いほど、それに伴って口座貸越で借りる際の金利も高くなりますので、その点は注意しておいたほうがいいかもしれません。
公共債で貸越の利用が可能な場合、金利の計算方法などが違うことがありますので、心配であれば問い合わせしてみることをおすすめします。
やはり低金利が大きな魅力!口座貸越利用のメリット
定期預金の口座貸越を利用するにあたって、メリットと言える部分はこちらの4点です。
- 驚きの低金利
- 特別な手続きや審査が不要で利用できる
- 必要な時だけ利用出来るので、借りすぎ防止になる
- 毎月定額返済する必要がない
やはりここまでの低金利は他には見られない、と言ってもいいほどです。
カードローンでも「1.0%」といった驚きの低金利で借りることが可能な商品もありますが、そのためには500万円以上の高い限度額を希望し、なおかつ審査に可決しなければなりません。
しかし口座貸越であれば、総合口座を持っており、かつ定期預金でお金を預けているという2つの条件だけで、特別な審査などなく、1%未満という低金利で利用することが出来ます。正直ここまでの低金利は他を探してもなかなかないと言えるでしょう。
普通預金の残高がマイナスになったタイミングのみで利用されるので、「別にお金に困ってるわけじゃないけど、借りちゃおう」という思考を防げます。ついつい借りられるとなると借りすぎる、という方もいますので、自制しやすい点もメリットです。
また、カードローンを利用する場合、毎月決まった金額を返済する必要がありますが、口座貸越は定期預金の満期になるまでであれば、どのタイミングで返済してもいいですし、1回の返済額も自由です。
低金利で借りられるだけでなく、お金に余裕があるときだけの返済というスタイルも可能なので、とても生活に優しいと言えるのではないでしょうか。
意外と不便?口座貸越を利用する際のデメリット
非常に魅力的な部分が多い定期預金を担保に利用できる口座貸越ですが、いくつかのデメリットも存在します。
- 定期預金の金額で上限額が決まる
- 口座貸越の場合、総合口座が必須
- 複利のため、返済期間が長いと利息額が増える
カードローンでも同じなので、大きく目立ったデメリットというわけではありませんが、それでも定期預金の90%までしか利用することが出来ないため、あまり大きな額を借りられるわけではありません。
せっかくなので低金利で借りたい、という方も多いと思いますが、そのためには定期預金を増額しなければならないので負担も大きいですよね。
また、当然ですが口座貸越の利用には総合口座が必要になるため、その銀行で定期預金を利用していても、通帳が別であれば利用することが出来ないのもデメリットです(口座貸越でなければ定期預金担保貸付を利用できる可能性は十分にあります)。
そして、メリットにて「定期預金が満期になるまでに返済すればいいのでラク」とご紹介しましたが、デメリットにもなります。
何故かといいますと、借りている期間が長ければ長いほど利息がかさんでしまうからです。口座貸越は「複利」ですので、借りたお金と、その利息にさらに利息がつきます。
4月に50万円借りたとして、6月にそれまでの利息が計算されるとすると、50万円+2ヶ月分の利息になります。これをAとしましょう。
そして次の利息計算が12月にあった場合、Aに6ヶ月分の利息がかかります。これをBとすると、また半年後の利息計算時にBに利息が…というようにどんどん利息がかさんでしまうんです。
便利ではありますが、きちんと返済していないと思ったよりも返済すべき額が大きかった、なんてことにならないように気をつけたいですね。
口座貸越の利用方法2:銀行系カードローンを利用する
もうひとつ、口座貸越でお金を借りる方法があります。
それは、「銀行系カードローン」の利用です。銀行系、とは銀行をはじめ、信用金庫や信用組合など、「口座を開くことが可能(お金を預けることが出来る)」な金融機関のことを指します。
いわゆる「アイフル」や「モビット」といった消費者金融系カードローンとの違いは
- 総量規制(年収の3分の1を超えてお金を借りられない)の対象外
- 適用される法律が違う
など様々ですが、「口座貸越のカードローンを利用できる」ことも大きな違いのひとつです。
基本的なシステムは定期預金の口座貸越と同じ
銀行系カードローンの口座貸越のシステムは、定期預金の口座貸越と同じく、普通預金口座の残高がマイナスになる際、自動的に借り入れ(融資)をしてくれるサービスとなります。
ただし、定期預金の口座貸付と違う部分もあり、これは商品によっても違うのですべての銀行系カードローンにおいて適用されるというわけではないのですが、
- カードローンの返済(引き落とし)
- 預金の払い戻し
- 定期預金や積立預金の振替や引き落とし
といったことは自動融資の対象外となります。特に注意しておくべき点は、カードローンの返済を自動融資では出来ない、というところでしょうか。
金利は一般的な銀行系カードローンと同じ
利用可能な限度額や、適用される金利は一般的な銀行系カードローンと同様で、最高金利は15%程度、最低金利はまちまち…といったところですね。
限度額は「マイカードプラス」のみ30万円と低いですが、他は500万円~800万円まで利用可能です。
銀行・商品名 | 利用限度額 | 適用金利 |
---|---|---|
みずほ銀行カードローン | 最高800万円 | 2.0%~14.0% |
三菱東京UFJ銀行「マイカードプラス」 | 最高30万円 | 14.6% |
イオン銀行カードローン | 最高800万円 | 3.8%~13.8% |
三井住友銀行カードローン | 最高800万円 | 4.0%~14.5% |
スルガ銀行「自動貸越サービス」 | 最高500万円 | 7.0%~14.9% |
自由度が高い!銀行系カードローンのメリット
銀行系カードローンで口座貸越サービスを利用する際のメリットはこちらです。
- 定期預金がなくても利用できる
- 口座貸越よりも大きい限度額で借りられる
- 消費者金融系のカードローンよりは低金利で利用可能
- わざわざ現金を引き出す手間がない
- ATMや振込ででもお金を借りられる商品も多い
何より、定期預金がなくても利用できる点ですね。預金での口座貸越の場合、借りられる金額が定期預金の額に大きく影響を受けますが、カードローンは審査結果に応じた額を借りられます。
また、金利は消費者金融系(最高金利18.0%程度)よりも低いので、負担はちょっとですが軽めになります。
ATMで引き出して口座に入金して…となるとなかなかの手間になりますが、口座貸越であればその手間が省ける点もメリットです。これは定期預金の口座貸越でも同じですが…。
口座貸越機能しか持たない「マイカードプラス」のようなカードローンもありますが、多くのカードローンは口座貸越は「サービス」として付加しているものなので、ATMから借りたり、ネットバンキングで借りることも可能です。
預金には基本的には手をつけたくない、でもお金がちょっと必要…という方でも利用できる幅の広さはカードローンの方が一歩リードしていると言えるでしょう。
手続きが少々面倒?銀行系カードローンのデメリット
続いて、デメリットの方もご紹介していきます。
- 別途申し込みや審査が必要になる
- 口座を保有していない場合、別途銀行口座を開く必要がある
- 定期預金の口座貸越に比べて金利が高い
当然ではありますが、利用するために別途申し込みや審査が必要になります。その銀行の普通預金口座がない場合、口座を作るところからスタートしますので、その日のうちに手続きが完了しないこともあります。
また、みずほ銀行のように口座を保有していたとしても「キャッシュカード兼用型(キャッシュカードにカードローン機能をプラスしたもの)」でないと利用できないというケースもあります。
そして、金利が高いこと。これはカードローンなので仕方ない部分ではありますが、定期預金を担保にした場合と比較すると圧倒的な差といっていいですよね…。
定期預金でお金を預けているケースと比較してはいけないのかもしれませんが、10%以上の差はどうしても利息額にダイレクトに響いてしまうので、あまり積極的に借りるのは控えたいところです。
定期預金があるなら、ぜひ解約よりも口座貸越を!
ついついうっかり口座に入金し忘れて引き落としができなかった、なんて経験をしている方も多いでしょう。
口座貸越はその「うっかり」があってもサポートしてくれる大きな安心感が魅力です。
ただし、意識していないと「いつのまにか口座貸越でお金を借りていた」なんてこともありますので、預金額が少なめの方はできるだけ定期的に記帳するなど、チェックするようにしたほうがいいでしょう。
お金が必要になったから定期預金を解約することを選択肢に入れる人も少なくありませんが、そのような人も定期預金を担保にした口座貸付を利用すれば、わざわざ定期を解約せずともかなりの低金利でお金を借りることが可能です。
さらに気軽に口座貸越を利用したいのであれば、申し込みや審査をクリアする必要がありますが、銀行系カードローンの口座貸越サービスを利用するのも手です。
ただ、金利は定期預金を担保にしたものと比べると大幅にアップしてしまいますので、何も考えずに利用するような形は避けましょう。
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